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  • 執筆者の写真智史 廣瀬

新刀か古刀か 1

 慶長五年、西暦1600年、「天下分け目の合戦」と呼ばれた(現在は解釈が変わってきているようですが)「関ヶ原の戦い」が行われました。


 だいたいここを境として、これより前に打たれた刀を「古刀」、後に打たれた刀を「新刀」と言います。


 結構好みが別れるものでして、僕は断然「古刀」派なのですが、「新刀」が好き。という方もみえます。


 僕はといえば、完全に「古刀」派です。(とはいっても、新刀も良いものが沢山あることはもちろん知っていますし、自分の所持している刀の割合でいっても、1/3は新刀です)


 「何故なの?」と言われると、ぶっちゃけて申し上げますと、「古刀のほうが安い」からです。あー、言っちゃった。

 だって、ほら、僕、サラリーマンですから...。


 特に室町末期。所謂戦国時代の刀は「数打ち」と言われる、大量の需要に応える為に粗製乱造された刀が多い。


 皆さま「刀は武士の魂である」なんて言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、あんなの誰が言い出したのか分からない嘘でして、もともと「武士」とは「弓馬の家」であって、馬に乗って弓を射る。いわゆる「騎射」が出来る人間を指したわけです。


 江戸時代になると、当時から刀は高価なものでしたから、生活のために刀を売ってしまって、急にお殿様の御側にお仕えすることになって、慌てて親族でお金を出し合って刀を買った。みたいな話も出てきます。


 戦闘に刀が実際に使われた時代。それって実は非常に限られていて、それが戦国時代なんですね。(幕末は、いわゆる尊王攘夷を掲げるテロリストが使ったくらいで、そんな人、現実世界からみたら超少数派だったわけですし)


 その辺は、戦闘様式の変化を学べばすぐにわかることなのですが、参考文献を載せておきますね。


 で、数打ちの中に、キラリと光る刀があるんですね。特に備前や高田などに多くて、お値段控えめ。最初の一振りにもってこいな訳です。どうせ買うのなら、備前が断然お勧めです。


 さて、そんな数打ちから、良いものを抜き出すにはどうしたらよいか。このコツは「帽子」です。


 「帽子」とは、切先の中の刃文を言います。姫路お刀同好会では①姿②地鉄③刃文④帽子の観方を教えるのですが、帽子を観るのは、初めての方には非常に難しい。


 刀と自分の距離が最も近くなりますし、光の当て方も微妙な角度を要求されるので、初めて来られた方の中には、「良くわからない」とおっしゃる方もみえます。

 

 ただ、ここをきちんと見られるようになると、粗製乱造された刀の中に、「きちんと造られた」末備前を見つけることが出来るんですね。お値段はびっくりするくらい安いです。


 そういうものを手に入れられれば、目はぐんぐん上がると思いますし、良い刀が「寄って来る」ようになります。


 僕は先にこのBlogで申し上げたように、お店がそういう刀を薦めてくれましたので、非常にラッキーでしたが、全ての方が僕のように恵まれた環境にいられるわけでは無いと思いますので、せめて、「帽子」がきちんと観えるまでは、刀は買わないほうが…。


 あ、「新刀か古刀か」の話でしたね。えらく話が脱線してしまいました。

 続きは、また後日申し上げましょう。


<続く>


令和六年元旦 廣瀬智史 かく

 

参考文献

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